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製品開発に現場のノウハウを

平野 Meets the Maker「アグリゲート」

2019.08.06 メーカー特集

売る人の顔が見える製品を、顔が見える店から買いたい。毎回、様々な弊社取扱メーカー担当者にインタビューする「平野 Meets the Maker」。今回のゲストはアグリゲート株式会社のITソリューショングループの森田さんです。

アグリゲートは、2018年に無線アクセスポイントを発売した新進気鋭のメーカーです。一方で、電気工事業者としての一面も兼ね備えています。工事業者からメーカーになったアグリゲートさんに、今回の経緯や製品開発秘話を聞いてみました。

―― 自己紹介をお願いします。

「アグリゲート株式会社のITソリューショングループの森田です。今日はお忙しい所、東京本社までお越しいただきありがとうございました。

私は製品広報の他、工事現場のコーディネート、光回線の関連業務などなど、様々なことを担当しています。小さい会社なので、いろいろ掛け持ちしながらやっております」

オフィスは2018年に新宿区から今の中野区のオフィスに移転。住所は中野区だが、西新宿の高層ビル群から少し離れた場所にある

―― シャツに御社ロゴマークが!? それは何ですか?

「これは弊社のユニフォームです。社員各自で、オリジナルのユニフォームをカスタマイズできるんですよ。夏はポロシャツに自分好みの柄やカラーをチョイスしています」

森田さんのユニフォームシャツ。この夏はちょっと冒険してアロハ風にしてみたのだとか

―― 電気工事業がメインのメーカーとのことですが、これは?

「弊社は電気工事・電気通信工事を手掛ける工事施工業者です。中小オフィスや集合住宅向けのインターネット回線や、端末設備の接続及び配線工事を多く手がけております。配線工事の他、セキュリティーカメラや太陽光発電の設置工事も力を入れています。

また、近年は自社の光回線「QOL光」や住宅トラブルの緊急かけつけサービス等も取り扱っております。電気通信工事を窓口にして、様々なサービスを提供しています。ある意味、工事のなんでも屋です」

―― 御社がネットワーク機器メーカーになったきっかけは何だったんですか?

「弊社がアドバイザーを努めていた無線AP(アクセスポイント)の開発計画が頓挫したことがきっかけですね。一緒に開発してきたメーカーが土壇場で撤退したので、『それならウチがメーカーになっちゃおう!!』 と。そんな経緯ですね(笑)」

東京本社オフィスの様子。社員数20名。東京の本社の他に大阪支社もあるそうです

―― 最初は「売るだけ」が、突然「メーカー」になってしまったということですか?

「そうです。需要が見込めるPoE対応の無線APをリリースしたい某大手電機メーカーと、現地工場からの輸入商社と販売を担当する弊社の計3社で開発は進められました。製品はできたのですが、販売価格が想定より高くなることが分かったんです...。それでメーカーと商社が降りて、計画は頓挫してしまいました。

普通ならここで終わりなんですが、弊社社長の山下が『それならウチ(アグリゲート)が引き継ぐ』と言って、計画が再始動しました。資金を用意して、関税や税関手続きもクリアしました」

―― 会社としては、大きな決断だったんじゃないですか?

「(社長は)意外にあっさり決断してましたね(笑)。社運を懸けた大きな計画が、気軽な流れで進んでいった印象があります。逆に僕らに任せてもらったので、動きやすい部分はありましたね」

―― すべてが初めてで、大変だったんじゃないですか?

「大変でした。10月に計画が頓挫しましたが、発売は2018年中の発売が至上命題でしたから、2ヶ月で準備しました。メーカーの下請けの台湾の工場と連絡を取って、税関手続きや定期便を手配したり、運搬の際の保証や湿気対策などなど、すべてが手探りでした」

―― 苦労の末の無線AP「AG1200W」ですが、評判はいかがですか? また、製品のこだわりはどこですか?

「無線AP『AG1200W』の評判は上々です。大手ハウスメーカーに採用されたり、問い合わせもかなり来ています。競合メーカーよりも同スペックで値段も押さえられている点が一番のウリです。
長くなるので詳しくはお話しませんが、内部のICはかなりいいものを使っています。また、無線APは空冷ファンを取り付けられないので熱が問題になりますが、筐体をプラスチック製にすることで熱を逃がしやすくしています」

IEEE802.11ac対応 壁埋め込み型無線アクセスポイント「AG1200W」。PoE受電に対応しており、電源工事は必要ありません。RJ-45モジュラージャックの「キャップカバー」がついているのもこだわり

IEEE802.11ac対応 壁埋め込み型無線アクセスポイント「AG1200W」。IEEE802.11ac(5GHz帯)対応。IEEE802.11a/b/g/n/ac 2(2.4GHz)×2(5GHz)サポート。2.4GHz帯と5GHz帯の同時使用可能。最大通信速度 5GHz帯:867Mbps 2.4GHz帯:300Mbpsの無線通信が可能。PoE受電(IEEE802.3af)対応により電源設置不要。無線以外にLANポート(RJ-45)も使用可能

―― 台湾の現地工場とのやり取りはカルチャーショックの連続だったとか?

「日本のコンプライアンスが通じないことに驚きました。 例えば、日本では稟議書や契約書が必要な局面にノリと口約束だけで物事が進んで行ったり...(笑)。『えっ!? 契約がこれでいいの??』みたいなことが多くありました。いい加減な部分もありますが、日本ではやってくれない後からの製品仕様の変更もやってくれたりするので、一長一短がありますね。『AG1200W』のRJ-45モジュラージャックのキャップも後から頼んだら、快くOKしてもらったりしました。とにかく現地では、気に入れられるかどうかが重要ですね。台湾でも特に台北は、そういうノリが強いようです」

―― PoE対応のスイッチも追加で開発したとか?

「そうなんですよ。無線APの需要があれば、スイッチも絶対に需要がありますからね!!
第2弾製品『AG1816P』は、Gigabitポートを16ポート搭載したPoE機能対応L2スイッチです。1ポートあたり、最大15.4W装置合計で最大220WのPoE給電が可能です。各ポート間通信を遮断することができるため、セキュリティーの確保が可能です。

『監視機能なし』もこだわりです。監視機能って意外と使わないんですよ。それならば、機能を削ぎ落としてシンプルで高コスパのスイッチを作ろうと思って作ったのがコレ(AG1816P)なんです。企画開発には現場のニーズが活かされていますね」

PoE対応Gigabit-L2SW(監視機能なし)「AG1816P」10/100/1000Mbpsポートを16ポート搭載。19インチラックの固定用の金具も付属

―― スイッチは国内外のメーカーがしのぎを削る分野で、群雄割拠でライバルが多いんじゃないですか?

「確かにそれはありますね、市場が成熟しきってる感もありますね。でも、採用されるかどうかは値段と機能が決め手だと思うんですよ。製品開発には、ウチが工事業者をやっていたから分かるノウハウを活かして行きたいですね。

実はまだ言えませんが、今後さらに売れる無線APやスイッチを開発しています。屋外ラック収納に適した小型のPoE機能対応L2SWは、ほぼ完成しています。近い将来、冊子のパンフレットができるかもしれませんよ!! そうなったら編集が大変かもしれないですけどね...(汗)」

平野営業から一言

平野営業

このたびは、急な撮影依頼にも関わらず快く対応頂きありがとうございました。
これまでの工事経験から市場のニーズを掴み、誕生した本製品の開発秘話をお聞きし 我々問屋としても教訓になりました。
弊社にてデモ機の貸し出しも行っておりますので、是非みなさんも手にとって見てください。