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平野 Meets the Maker「シュナイダーエレクトリック」

2019.05.23 メーカー特集

売る人の顔が見える製品を、顔が見える店から買いたい。毎回、様々な弊社取扱メーカー担当者にインタビューする「平野 Meets the Maker」。
今回はシュナイダーエレクトリックさんです。シュナイダーエレクトリックといえば、言わずと知れた世界的な重電メーカーで、BCN AWARDのUPS部門では4年連続10度の受賞をされております。国内UPSのシェアは52%(BCN AWARD 2018 UPS部門メーカー別シェア調べ)を誇ります。
今回は東京田町にある本社ショールームで、最新製品や業界の動向などを伺いました。

―― 自己紹介をお願いします。また、今回はショールームにお招きいただきありがとうございます。

「シュナイダーエレクトリック株式会社のセキュアパワー事業部、事業開発本部の神谷です。本日はお忙しい中、弊社にお越しいただきありがとうございます。
ここ田町にある本社は、弊社製品を展示するショールームも兼ねております。予約は必要ですが、一般公開もしておりますのでお気軽にお声掛け下さい。本日は今後の拡販も視野に入れ、改めて弊社製品をご紹介できればと思います」

―― シュナイダーエレクトリックの歴史について教えてください。

「創業は1836年で、シュナイダー兄弟が設立しました。日本だと幕末の頃です。最初は鋳造業に始まり、産業革命後は重電機分野に進出しました。本社はフランスのパリ郊外にあります。

日本国内の事業開始は1962年で、当時は送配電機器の販売がメインでした。その後、デジタル※1や米国APC※2と資本提携し、エネルギー事業、ファクトリーオートメーション事業などへ事業を拡大しました。

シュナイダーといえばUPSやラックメーカーのように思われるかもしれませんが、世界全体で見るとセキュアパワー部門の売り上げは全体の14%に過ぎません。インフラやビル向け電力事業や工場向けのオートメーション事業が会社売上の大半を占めております」

※1 株式会社デジタルは、大阪府大阪市中央区に本社を置くタッチパネル付き表示器(プログラマブル表示器)の大手メーカーであった。2002年にシュナイダーエレクトリックと資本提携し、2017年にシュナイダーエレクトリックホールディングス株式会社と合併した。
※2 米APC(American Power Conversion)は、米国ロードアイランド州で設立され、サージ抑制機器、無停電電源装置(UPS)、電源管理ソフトウェア、DC電源システムのほか、空調機器やコンサルティングサービスなどを提供していた。2007年シュナイダーエレクトリックの傘下に入っている。

大規模ソリューション「EcoAisle」「InRow」。EcoAisleは、ラック、ラック列、部屋レベルで冷却効率を最大限に高めるように設計されたホットアイルコンテインメントシステム。InRow はIT ラック列内に組み込むことによる局所冷却システム

―― 御社の特徴や社風について教えて下さい。

「挙げるとすれば、テレワークの導入ですね。
社内規定で、自由にテレワークをしていいことになっております。テレワークをしない社員もいますが、する社員だと週1くらいでテレワークをしています。海外の拠点とやりとりがある社員は、時差で早朝や深夜に会議をすることもあるので、テレワークを活用して業務を効率化しています。

また、毎年開催しているNIPPON IT チャリティ駅伝※3に参加しています」

※3 2010年に大会実行委員長であるチャック・ウィルソン氏によって社会的に立場の弱い未就労者を救うために企画されたチャリティ駅伝。この大会で得た収益はNPO団体FDA (Future Dream Achievement)などに寄付される。

―― 「事業開発本部」所属とのことですが、どのような部署なんですか?

「弊社の開発は海外で主に行っております。弊社製品は基本、グローバル製品です。しかし、ご存知のように海外と日本では規格や法基準が違っています。例えば、日本だと100Vですが、海外ですと120Vや230Vの国が多いんです。また、コンセントやプラグの形状も違っています。事業開発本部では、海外で開発されたグローバルな製品を日本仕様にローカライズしています」

―― シュナイダーエレクトリックが選ばれている理由や他競合との違いは何ですか?

「大手サーバーメーカーに選ばれている高い品質です。 国内・グローバルメーカーの厳しい品質条件をクリアし、各メーカーとの互換性を確保している点からも、弊社UPSの高い信頼性が分かるかと思います。

もう一つは、グローバル企業ゆえの高い知名度とブランド力です。例えば米国の日本法人ができた際、本国と同じ製品を日本でも指名買いされることが多いですね」

―― 最近の業界で気になることがあれば教えて下さい。

「非IT系のUPSの需要が伸びていることですね。
最近は、POSレジや販売機、コインパーキングなどの機器向けにUPSを買われるお客様が増えています。大手ハンバーガーショップのレジには、弊社UPSが導入されております。震災以降、停電時の釣り銭トラブル防止や高価な機器の保護用にUPSを買われるお客様が増えています。

月並みな答えですが、エッジコンピューティング※4も注目している分野ですね。5G環境下ではIoTの本格化が予想されます。今後は中小データセンターが急増していくと考えています」

※4 利用者のスマートフォンなどのインターネットにつながるIoT機器において情報を処理したり、利用者に近いエリアのネットワークにサーバを分散配置して処理を行ったりするコンピューティングモデルである。クラウドコンピューティングが、サーバを集約して集中して処理する集中処理型に対して、エッジコンピューティングは、ネットワークにおける端末機器において情報を処理したり、ネットワークにサーバを分散配置して処理を行ったりする分散処理型となる。

10年前にはクラウドへの一極集中が進むと予想されていたが、10年後の現在、クラウドは急速に分散化の傾向をたどっている

―― 最近のオススメのアイテムはなんでしょうか?

● 単相UPS「Smart-UPS シリーズ」

「BCN AWARD獲得のAPCブランドのUPSです。サーバやネットワーク機器等のシステム全体にクリーンかつ高品質の電源供給を約束し貴重なデータ消失を防止します。販売台数が2000万台を超える、ベストセラー製品です」

左:SMT750J、右:SMT1000J。日本語表示可能なLCDディスプレイにより、UPS本体でも情報管理や各項目の設定が可能となり管理性が向上

前面パネルからバッテリーは簡単に取り外し可能。UPS自体の効率化・省エネ設定に伴いバッテリーがより長寿命に。メーカー曰く「バッテリーには寿命があるので定期的に買い替えを推奨する」とのこと

「リチウムイオン電池モデル『APC GS Pro 500』も人気です。バッテリ寿命は驚異の8年で、近似正弦波出力によるPFC電源搭載機器への対応も可能です。システムの正常動作を監視するWatchdog機能で、ネットワーク上での機器の再起動や回復を実施できます」

リチウムイオン電池モデル「APC GS Pro 500」。リチウムイオン電池を搭載することにより、電池の長寿命化を実現するほか、従来のUPSと比較し、同容量では質量約5kg減、体積比にして約45%減の小型軽量化を実現

● ラックマウントPDUシリーズ

「サーバーラックおよびデータセンターに必要なPDUを業界No.1の品揃えでラインアップしています。エントリーレベルのネットワーク機器から、ハイエンドレベルの高密度サーバーやブレードサーバーまで幅広く対応し、電源管理にかかる工数を大幅に削減します」

電圧は100V、200V、プラグはNEMA、IEC、Hubbel等の規格に対応

「BasicラックマウントPDUの機能に加え、PDU単位で使用電流量を計測し、ディスプレイ、Web、SNMPなどネットワークを経由しての通知が可能です。本体搭載のディスプレイは使用電流値を表示します。
シンプルなPDUも人気がありますが、近年は節電の観点からMeteredラックマウントPDUを買われる方が多いですね」

MeteredラックマウントPDUを使ったソリューションでは、電源効率から割り出した効率的な電源構築も可能

● ラックシステム「NetShelter CXシリーズ」

「防音効果を備えたオフィス向け静音ラックです。オフィスやスタジオ、教室、研究室、クリニックなど、サーバー音が気になる場所への設置に最適です」

静音性とデザイン性を追求したラックシステム「NetShelter CXシリーズ」

「木目調の外観も人気があります。スペースが少ない日本のオフィスの場合、自社サーバは社長室や役員室に置かれる場合が多いんですよ。そういった場合でも、環境にマッチして音も静かです」

内部は防音素材を使用。つい最近もショールームに視察にきたSEさんが、複数台購入したそうです

―― 最後に今後の展望や新製品について教えてください。

「1,000VA以下のUPSのラインナップを増やしたいですね。
1,000VA以下の小型UPSは、家電やゲーム、SOHO、FA等幅広く実用可能で、需要の裾野が広いという魅力があります。
弊社はサーバ向けの大型UPSに関しては高いシェアを持っていますが、非サーバー向け小型UPSに関しては、競合他社のラインナップに比べて厳しい状況です。他社さんは非常に細かいラインナップを持っています。今後弊社としては、小型UPSも取りこぼさないように策を講じていきたいと考えております」

平野営業から一言

平野営業

弊社展示会(BCCセッション2019)に出展していただくのがきっかけで、シュナイダーさんのショールームにご招待していただきました。
印象に残った話が、コスト削減が地球環境改善にも繋がるという「life is On.」の概念でした。サーバ内の電力消費量から機器の重要度のランク付けして、効率的な電力供給をする。そのことが結果として消費電力を抑制し、CO2削減にも繋がる。グローバル企業ならではの視点だと思いました。